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マングローブの森には、サギが集まって来ていた。それも結構な数である。近付くと逃げるが、ギリギリまで粘って、飛ばせないで通り過ぎる。 |
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美しい風景だが、心の中は今日も泥地に閉じ込められないか不安で一杯である。信じるものは、いつでも北を指すコンパスだけ。 |
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やはり今日も泥塗れ。だが、今までの人生で見たことの無い泥だ。こんな泥を掘っていくと原油が出るのだろうか?変な生き物の背中を歩いているような感触
だ。不気味とやや硬い。締まっているというのか・・・。 |
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ここはどこだ?360°こんな風景だとここは地球なのか?と思ってしまう。砂漠ならぬ泥漠というべきか・・・。 |
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しばらく泥漠を進み、ようやく遠くに道路と橋が見えてくる。もうここは海でも何でもない。何なのかよく分からないが、コンパスを信じて進む。暑くて遠くて重くても、どこかに辿り着かなければならない。恐らく、夜には数センチの海がやってくるのだから。 |
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荷物を背負って歩き、荷物を置いて戻ってカヤックを担いだり引き摺ったり、後ろは見たくも無い。後ろにはもう海は無いのだから。 |
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死ぬほど苦労して、ようやく海水のクリークを見つける。カヤックを降りた泥漠の入口から3,4km歩いただろうか。3,4時間泥漠を歩き続けたのだ。見付けた時はそのまま頭から飛び込み、しばらく呆然としていた。 |
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後ろを振り返る。どこから来たのかも分からない。海の影も形も無い。あるのは干上がった時に出来た白い塩の結晶だけだ。 |
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このクリークがもう少し遠かったらと思うとぞっとする。多分、もう少しで熱射病に掛かっていたかも知れない。水のありがたさをつくづく感じた。この一日半で、自分でも有り得ないほどの水を飲んで、8Lの水が底を尽きかけた。 |
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マングローブではないが、背の低い潅木がクリーク沿いに生えている。逞しい生命力だ。クリーク沿いに生えているのは、細長い葉の潅木だけである。 |
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意外と大きなクリークで、干満の流れもあって快適に下る。大きくて体が透明の魚や、熱帯魚が悠々と泳いでいる。 |
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ガゼル。下ってくるカヤックを訝しげに伺い、少しでも近付くと独特のピョンピョンと跳ねるジャンプで逃げていった。あのジャンプは潅木と飛び越えるのに都合の良い跳ね方なのだろう。 |
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七面鳥、だと思う。半壊した小屋から逃げ出したものがその辺りをうろついていた。 |
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壊れた鳥小屋には鶏や七面鳥がいるだけで、人の気配は無い。そればかりか、鳥小屋の中のエサをガゼルがあさっていた。 |
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首長達の高級別荘地帯に入る。敷地が広すぎてどこにも上陸できない。橋に上がって通りかかったアラブのおじさんに道を聞く。見渡す限り別荘。世の中凄い金持ちがいるものだ。クリークを更に下って路頭に迷っていた時、ボートに乗って先程出合ったおじさんがやって来た。「助けが必要なようだね」その後、スピードボートでアブダビまで送り届けてくれた。どの道、この先はもっと辛い状況になると地図から予想されるからだ。 |
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スピードボートでアブダビまで戻ってくる。そこにホテルがあるよと紹介されたのはインターコンチネンタルだったが、ちょっと予算が無いので近くの浜辺に泊まる。遠くに別の宮殿が見える。いくつものばかでかい宮殿、見渡す限りの別荘。オイルマネーの力は凄まじい。 |
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石油掘削船なのだろうか。夜の遊園地みたいにかなり明るい。 |
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泥漠を引き摺った後が、カヤックの底に残っている。しかし、あの状況で3,4kmも担いで歩くのはちょっときつかった。 |
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左の赤い服の男とは色々あって、飯代約3000円を持ち逃げされた・・・。詐欺師のインド人である。ドバイにて。 |
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バス車内からの風景。砂漠地帯とは言いつつも、意外と至る所に草が生えている。 |
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ちょっと田舎の方に行くと、町中をヤギがのんびりと歩いている。近代的なビルが立ち並ぶ都市とは大違いだ。 |
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UAEからオマーンへ。目的地のムサンダム地方はガイドブックでは警察の許可、政府の許可が必要で、UAEからそこへ行く公共機関も無い。2泊3日のツアーでしか行けない。だったらと、タクシーで国境まで行き、とりあえず入国してみる。その先は入国審査場でヒッチハイクする。運良く石油関係の仕事で来たという人に港のある八ッサブという町まで乗せてもらった。 |
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八ッサブの町をうろついていたら私服警官に連行され、車で町を案内された後、彼の家に泊めてもらう。出発する港まで送ってもらった。 |
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ハッサブの町。山間の小さな町である。 |
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この辺りはやたらと海鵜が多い。よく原油流出などで保護団体に体を洗われ
ているのは、鵜が多いことを思い出した。 |
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海鵜がやたらと群れている。 |
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でかいハリセンボンが浮いていた。この辺りの海岸によく打ち上がっているので、生息数は多いのだろう。 |
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港から漕ぎ出すと、ダウ船も航行している。 |
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ダウ船とフィヨルド。ハッサブの港はイランが近いので、よくイランからスピードボートに乗って貿易しているようだ。ダウ船は昔、中国やインドネシアまで貿易航海していたのだという。帆掛けからエンジンスクリューに動力は変わったが、船の構造自体は1000年前と然程変わらないらしい。 |
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この辺りの岩場は、海鵜の糞で白くなっている所が多い。 |
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奇妙な岩場。何かの建築物や神殿のようにも見える。 |
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山々は緑一色に見えるが、これはカメラのせい。実際は茶色の不毛な岩山だ。 |
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ヤギの死体。行き倒れになったのであろうか。骨と毛しか残らない。 |
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この緑もカメラのせい。所々に潅木が生えているが、色は一様に茶色だ。 |
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野良ヤギ。いや、もしかしたら誰かが飼っているのかもしれないのだが。 |
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野良ヤギを追い掛ける。 |
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追い掛けた野良ヤギを、遂に岩場の頂上まで追い詰める。この後野良ヤギは、頂上の先の崖をゆっくりと降りていった。 |
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冬になるとこの辺りは雨が少し降るので、水の流れる谷の部分に草が多い。 |
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ペットボトルにクラゲを捕まえる。 |
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青いクラゲが多い。水は透明度が高く、緑に見える。 |
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この地方はフィヨルド地帯で湾が多く、このシム湾は奥行きが20km程ある。 |
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水面辺りの岩は内側に削れて、よくキノコ型みたいに庇が付いた地形になっている。だが、洞窟の類はほとんど見られない。 |
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地層が盛り上がって、このフィヨルドを形成していることがよく分かる。至
る所に地層が見える。 |
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場所によって、少しずつ岩の色が違う。白や茶色や赤茶けたものまで様々だ。 |
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岩場の所々は、海鵜に占領されている。 |
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日差しが強いので、岩陰に入るととても涼しい。 |
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海鵜が一斉に飛び立つ。中には羽ばたいているがなかなか体が浮かなくて、がんばっている姿が可愛らしい鵜もいる。 |
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潜る鵜、泳ぐ鵜。泳ぎが慌てている様で優雅じゃないので愛嬌がある。飛び立つチャンスを失った鵜には、カヤックでかなり近付くことができる。 |
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こんな谷底の危なげな場所にも集落がある。こんな辺鄙な所でも、山中を電
線が通って各村に通っている。 |
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巨大な宮殿にも見える岩山。高さは5、600mくらいだろうか。 |
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1860年代のイギリスの通信施設跡地。当時イギリスがインドやこの辺りを植民地化していた頃のもの。1865年、イギリス〜インド間に電信線開通。 |
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まるで、湖のようだ。静かで穏やか。時折、生暖かい風が吹く。 |
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通信施設の島に上陸。ジャジーラ(島の意)・マグレブ。岩に「telegraph」と落書きがしてあった。当時のものだろうか? |
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こんな光景を何かのTVで見たことがあるような気がする。南米とかだろうか? |
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この海には、こんな魚が泳いでいるのだろう。 |
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ナマコ。 |
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ガンガゼ。近くに異様に針の長いガンガゼがたくさん転がっていた。 |
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休憩中に帽子とサングラスを取ったらレンズ越しに山が見えたので、何とな
く写真に収める。 |
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夕暮れ時は、寂しそう。 |
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ジャジーラ・マグレブの遺跡に泊まる。これが日常のキャンプスタイルである。涼しくて結構快適だ。テントに入ったら、とてもじゃないが眠れない。東南アジアよりも体感温度は厳しいが、蚊や吸血虫の被害ガ無いので(蠅と蜂はいる)、テントが無くても平気である。 |
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穴掘り蜂。理由は分からないが、地面を犬のように前脚で掘る。しばらく様子を見ていたら、何もしないまま埋め戻して行った。岩に開いている穴には、海鵜がたくさん入っている。 |
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前述の通り、ガンガゼ。 |
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やはりペルシャ湾名物?原油漂着である。アブダビ近辺には一切無かったが、潮流の影響で流れ着いたのだろう。原油の塊をサンダルで思いっきり踏んでしまって、一週間くらいサンダルの底から取れなかった。 |
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海岸には、岩壁が迫っている。海ガメの姿も、ちらほら見え始める。ホルムズ海峡に近付くにつれ、段々と上陸地点が少なくなってくる。ということで、自然とカヤックの舳先は集落へと向き、泊めてもらうこととなる。この日はカブールという集落に泊めてもらう。 |
第2話はここまで、第3話へつづく。。。 |